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システム開発者が学ぶべき簿記会計入門_2

これだけは抑えておかなければならない簿記会計の基本その1

簿記会計の基本の基本は抑えておく。

システム開発者が学ぶに際して、通常の簿記の教科書とは別の切り口が必要なことを前回述べたがが、かといって簿記会計の基本をはずしては何も語ることが出来なくなるので、基本の基本については抑えておこう。

そもそも”簿記”と”会計”って何か。

そもそも”簿記”と”会計”は同じものなのか、両者に違いはあるのか、ということから記しておこう。
まず、”簿記”というのは漢字の字面が示すように、帳簿への記録のことであり、その記載の仕方をまとめた学問が”簿記論”である。これに対し、”会計”とは、帳簿記録を基にして財務諸表(※これについては後で説明を入れる。)をはじめとする各種報告書を作成することであり、その方法について学問としたのが”会計学”である。
ここから見えてくるのは、簿記によって日々会計帳簿に記録がなされ、それを基に会計報告が行われる、という流れである。また、会計報告の内容に変更が生じた場合、その報告書をまとめるためにも日々の記載方法に変更が生じるかもしれない、という関係も見えてくる。両者は車の両輪のようにお互いが連携しているのである。

簿記の基本_仕訳

簿記、つまり帳簿への記載をするためにはまず”仕訳”を作成して、それに基づいて会計帳簿(特に”総勘定元帳”)に記載するので、まずは”仕訳”について抑えておこう。
下記の例題から仕訳を作成し、それについて考察していく。

例題:2013年9月1日にA商店で100円(税込み105円)のボールペンを現金にて購入した。(消費税は5%とする。)

仕訳例1
  2013年9月1日
   事務用品     100円/現金    105円
   仮払消費税     5円            
    計         105円/計      105円

仕訳例2
  2013年9月1日
   (諸口)          /現金    105円
   事務用品     100円/(諸口)
   仮払消費税     5円/(諸口)      
     計        105円/計     105円

借方と貸方

上記2つは同じ内容の仕訳となっている。その際、「/」の左側の部分を”借方”、右側の部分を”貸方”という。これについては単純に覚えてもらうしかない。”左が借方”、”右が貸方”だ。
そして、例1を見てもらうと、借方については2行あるのに対し、貸方は1行しかない。この行については借方貸方どちらも単数だったり複数だったりする。その上で、借方の合計額と貸方の合計額はかならず一致する(上記の例では105円)。これが”貸借一致の原則”である。これはシステムの作成においても大変重要なポイントになるので十分に注意しておいて欲しい。
それから、借方貸方の内容を見てこう。そこにはどちらも”勘定科目”と”金額”がある。また、ここには記載してないが、この他に”適用”として”A商店 ボールペン”と記載したりする。これもシステムづくりに必要な知識です。
また、仕訳の借方勘定に対する貸方勘定、貸方勘定に対する借方勘定のことを”相手勘定”という。借方貸方双方が1つしかなければ”相手勘定”はすぐ決まるのだが、上記のように片方でも複数である場合、相手勘定は単純には決まらない。そこで例2にあるように”諸口”としたり、このような複数行のある仕訳を”複合仕訳”ということから”複合”としたりすることがある。これについては後でもう一度説明しよう。

T勘定

もう一つ覚えておきたいものがある。それがT勘定だ。T勘定は総勘定元帳のように勘定ごとに集計するのだが、もっと簡易で視覚的に見やすいものなので、経理の方との話をする際の説明道具として便利。ぜひ覚えておこう。
それでは上記の仕分けについてT勘定に書いてみよう。
           現金                  
            |2013年9月1日 諸口 105円
            |
 
                  事務用品        
  2013年9月1日 諸口 100円 |
                     |

                 仮払消費税        
  2013年9月1日 諸口  5円 |
                    |

このようになる。
Tの上に当該勘定名を記載する。
当該勘定が仕訳で借方にきていれば借方(左側)、貸方であれば貸方(右側)に記入する。
記入するのは、年月日、相手勘定、金額となる。上記の仕訳は借方貸方が1:1の仕訳ではないので相手勘定は諸口としている。(この場合、”諸口”の勘定を記載することもある。)

ここでもう一つ覚えておこう。
上記をみてもわかると思うが、現金が減る場合は現金が貸方、この反対に現金が増える場合は現金が借方となる。これを踏まえておけば、仕訳で貸借がわからなくなったときに相手勘定が現金だったらその現金は増えるのか減るのか、を考えてみるとよい。現金がへるのであれば現金が貸方だからそれを相手勘定とする当該勘定は借方ということになる。現金が増える場合はその逆となる。これがわかっていれば仕分けについて貸借を間違えなくなると思う。

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