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システム開発者が学ぶべき簿記会計入門_4

会計システムの伝票の概要

会計システムにおける会計伝票

さて、これまでは簿記会計の基礎として全ての者が覚えておかなくてはならない決まりごとを学習してきたが、ここからの学習内容はいよいよシステム開発者向けに絞っていこう。
その際、会計システムがシステム全体のどのような位置にあり、データのやりとりはどうなっているのか、を考えてみる必要がある。
そうすると、会計システムは他のほとんどのシステムから”会計伝票”という形でデータを受領し、そこから必要なデータを管理会計に受け渡す、という流れになっていることがわかる。そこから、”会計伝票”には財務会計や管理会計でひつようなデータが全て入っている、ということが想定できる。ということは、”会計伝票”にどういう項目があり、それがどうして必要とされているのか、ということを説明できれば、会計システム構築に必要な簿記会計の知識を習得したといえるのではないだろうか。
そこでここでは会計伝票のデータベースの構築を前提に、その項目やマスター(及びそのその項目)を解説していくこととする。

会計伝票のデータベース構築の問題点

会計伝票のデータベースを構築することを考えたときに、どのようにデータ項目を並べていけばいいのであろうか。先の事務用品を購入仕訳を基に考えてみよう。
1.伝票番号
2.日付(年月日)
3.承認者
4.入力者
5-1.借方1データ(勘定科目、金額)
5-2.借方2データ(消費税データ)
6-1.貸方1データ(勘定科目、金額)
6-2.貸方2データ(消費税データ)
というように分けてみましょう。(先の仕訳では6-2.のデータはありません。)
これをデータベースに入れるためにならべると
 1. 2. 3. 4. 5-1. 5-2. 6-1. 6-2.
と並べることを考えるのですが、簿記の基礎知識を思い出してください。借方も貸方もデータは(消費税データ以外のデータが)1つとは限りません。5-1.や6-1.がそれぞれ複数あることが考えられます。となると、その分をどう並べるのか、ということが問題になります。後ろに入れられる項目数を決めずにデータベースを作る、というのは難しいでしょう。ましてや現在示しているのは単純な項目ばかりで、その後に使用するために必要なデータが示されていません。これまで含めて項目数が不確定となるとまともなデータベースをつくるのはまず無理でしょう。ではどうしたらいいのでしょうか。

データベースの簡素化のために使用に耐えがたいシステム

現行販売されている会計システムの中には、システムの簡素化のために使用に耐えがたいものも実際にあります。そらは上記の仮に並べたような並びでシステムを作ってしまったものです。
このため、仕訳を作成するときに仕訳の行を(消費税項目の行を除き)貸借それぞれ1行のみしか入れられない、というものです。こうするとどういうことがおこるのか、ということを預金利息の仕分けて説明しましょう。
   預金     797円 / 受取利息 1,000円
   租税公課  150円 /              (源泉所得税)
   租税公課    3円 /              (復興特別所得税)
   租税公課   50円 /              (都道府県民税利子割額)
となりますが、これを1つの仕訳で入力することが出来なくなります。
そのため例えばこのように入力します。
   預金     1,000円  / 受取利息 1,000円
   租税公課   150円  / 預金     150円
   租税公課     3円  / 預金       3円
   租税公課    50円  / 預金      50円
この4つを別々の伝票として入力するのです。
しかし、これではあとで見直したときに本来の仕訳の全体像が見えにくく、検証に不向きといえるでしょう。
そこで、データベースの作り方をもう一度考えて見ましょう。

データベースを2つに分けて見よう。

ここでもう一度伝票の内容を見てみよう。
そうすると、データに2つの種類があることがわかる。1つは上記の1.(伝票番号)~4.(入力者)の項目とそれ以外の項目である。1.~4.の項目はその項目1つ1つが1つの伝票に1つしかない項目であるのに対し、それ以外の項目は伝票に複数登場するのである。また、借方と貸方のデータであるが、これについても、”借方””貸方”の区分をしておけば、その他の内容は同じ項目内容であることがわかる。
そこでデータベースを伝票に1つしか出てこないデータを集めた部分(伝票ヘッダ)と仕訳の内容を入れる部分(伝票明細)とに分けてあげることにより、いわゆる複合仕訳も入力が可能になる。
そこで次回からは伝票ヘッダのデータベース、伝票明細のデータベースに分けて説明していこう。

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